ビズパワーズ柳瀬智雄のコラム社内研修を成功させるための講師の選び方:社内研修を成功させるための5つの着眼点(4/6)

2019年04月25日

社内研修を成功させるためには、いかに最適な講師とカリキュラムを用意できるかが重要です。特に講師の重要度は高く、「何をするかよりも、誰がするか」とも言われています。これは企業での研修が学校の授業のように知識の習得が目的ではなく、その結果として、受講者が具体的に行動し、行動の結果が業績向上につながらなければならないからです。講義がわかりやすいことはもちろんのこと、具体的な行動を起こしたくなる動機づけができる講師でなければなりません。知識やノウハウの豊富さのみでなく、講師の人間性や魅力、経験が必要になります。

社内講師と社外講師のどちらが良いかについては、研修の目的によって変わります。自社内の独自ノウハウを承継するための研修は、当然社内でそのノウハウに長けている方を講師とするべきです。社内人材が講師として対応する場合のメリットとしては、その講師自身の成長につながることが挙げられます。人に教えるには、自分自身が深く理解する必要があります。研修の準備を行うことで、自分自身のスキルや知識を棚卸しし整理できるからです。社員がそれぞれの専門分野で講師ができるレベルまで成長し、教え合う風土が生まれると素晴らしいです。一方で自社にないスキルやノウハウについては、外部の講師に依頼しなければなりません。

モチベーションアップなどの意識改革を目的とした研修の場合は、社内にそれを得意とする方がおられたとしても外部講師の方が高い成果を出す場合が多いです。これは、外部からの異質な刺激が受講者の既成概念に刺激を与えて、多くの気づきを生み出すからです。社内の講師の場合、いつもの空気感から抜け出ることが難しく、発想が拡がりにくくなる場合があります。特に、経営者など上位職者がこのような研修の講師をするのは難しく、避けた方が良いです。

社内講師にするか社外講師にするかを考えるときに、コストを抑えるために社内講師を選ぶのは考えものです。この連載記事の第1回で申し上げたように、研修のトータルコストに占める講師料のウェイトは意外に低くなります。人件費や旅費宿泊費などの多大なコストをかけながら、コストを理由に最適な外部講師の活用を諦めるのはもったいないです。

外部講師を選択する際のポイントもいくつかご紹介します。まず「年間講演回数数百回」といういわゆる売れっ子講師だから安心、とは限りません。年間登壇回数が多いということは、必然的に1回の研修の準備にかけられる時間と手間が少なくなります。既成のカリキュラムをお話しいただくだけなら問題ありませんが、自社の課題に最適なカリキュラムの設計は難しくなります。

「何でもできます」という講師にも要注意です。高いレベルでどんなテーマの研修も出来る講師は稀です。専門分野を絞り込んで、日々研鑽に励んでいる専門性の高い講師を選びましょう。講師がホームページを開設している場合、関連性の低いテーマの研修がズラリと並んでいたら要注意です。一方「わかりやすい講義」を武器に様々なテーマのカリキュラムをお持ちの方もおられます。それらを見分ける意味でも、講師決定前に講師候補者と面談することをお薦めします。自社の課題を率直にぶつけてみてください。スムーズに納得出来る回答が得られない場合は、別の講師を探すべきです。ここはしっかりこだわりましょう。

※この記事は、経営専門誌「企業実務 2017年12月号(発行:株式会社日本実業出版社)」に掲載いただいた記事を再編集したものです。

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