ビズパワーズ柳瀬智雄のコラム
「やりがい搾取」と言う言葉に感じる懸念
2019年04月13日

「やりがい搾取」という言葉を最近何度か目にします。金銭報酬の代わりにその仕事の「やりがい」を強調することで、仕事へのモチベーションを高めることだそうです。
経営者が賃金を不当に低く抑えることを目的に、このような行動を取るのは悪質だと思いますが、この「やりがい搾取」という言葉が、安易に一人歩きすることに懸念を抱いています。
仕事に対するモチベーションは、複数の要素によって高められます。例えば、
- 給料などの金銭報酬
- 仕事自体の面白さ
- 自身のスキルアップなどの成長意欲
- 認められたり褒められたりすることで高まる承認欲求
- 社会や顧客、会社や同僚に対する貢献意欲
- 職場や同僚に対する愛着などの感情的なつながり など
多岐にわたります。
うがった見方をすると、「金銭報酬が不十分だけど、この仕事は社会の役に立っていてやりがいを感じているから続けている」という方がおられた場合、その方が、「自分は金銭報酬70%、やりがいが30%」と感じていたなら、「30%がやりがい搾取だ」という考え方もできます。おかしな感じです。実際にはこの方も、「やりがい」を感じて仕事をすることで、自分にとって心地よい感情が生まれるなど、金銭では換算できないメリットを享受しているのです。こういった事を全て金銭で勘定しようとするのがおかしいと思います。
想定される残念なケースは、新卒採用面接です。仕事を通じた本当の楽しさを知らない学生に対し、経営者が誇りを持って、自社のビジネスの社会に対する貢献を語ったときに、学生の頭に「やりがい搾取」という言葉が浮かんだら、どのように感じるでしょうか。もしかするとその学生は、金銭でははかれない素晴らしい職業経験を積む機会を逃してしまうかも知れません。
本当に残念な言葉が生まれてしまったと感じています。繰り返しますが、やりがいを強調することで、人件費を不当に低く抑えようとする経営者には全く共感できませんが、若者を前に、自身の夢を熱く語る経営者に対して、「やりがい搾取」という言葉が浴びせられるようなことが起こると本当に残念です。
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