ビズパワーズ柳瀬智雄のコラム社内研修の成果を出すための準備から評価、アフターフォローまでの留意点:社内研修を成功させるための5つの着眼点(6/6)

2019年05月09日

研修担当者は研修当日、会場や備品の準備は万全に整えた上で、講師と受講生をお迎えします。受講生がいつもと違う雰囲気を感じ、研修にどっぷり浸れるような空気感でお迎えください。素晴らしい笑顔と大きな声での挨拶で迎えるだけでも効果が出ます。講師に対しても、同様に笑顔で期待感をお伝えしましょう。講師も人間ですから、気持ちよく迎えられるとやる気がグッと高まります。

研修中には、研修担当者は後ろの席で研修の状況を確認しましょう。後述しますが、受講者アンケートだけでは、研修の良否は判断できません。受講者になったつもりで自分の目と耳で確認・評価してください。

研修終了後には、その効果をしっかり確認してください。受講者アンケートを実施するのはもちろんですが、その解釈には注意が必要です。「理解度」や「満足度」を4~5段階で数値化することが多いですが、その集計には注意が必要です。この数字はそのアンケートを書いた受講者が元々どのレベルであって、何を期待していたかを基準にした評価です。数値化されるので絶対的な評価のように見えますが、実は基準が曖昧で客観性に乏しい数値となる場合があります。

例えば管理職研修で、課長5年目のベテランと、1年目の新任課長が同じ研修を受講した場合、当然理解度に開きが生まれます。学習意欲が乏しく研修にも非積極的な方と、向上心が高く研修にも積極的に関わっている方の研修への評価の意味は違います。どのレベルの受講者がどのように感じたかを丁寧に把握してください。誰がどのように評価しているかを確認するのが重要です。集計した平均値では見えない部分をしっかり分析しましょう。

講師やカリキュラムについての評価がまとまったら、必ず改善につなげて下さい。講師に満足できない場合はその点をフィードバックし、改善が難しい場合は講師を変更すべきです。カリキュラムの改善が必要な場合には、遠慮なく講師に相談し、協力してより良いカリキュラムの開発に取り組んでください。

受講者へのアフターフォローとして、受講後3ヶ月程度経過後に状況把握のためのレポート提出やフォローミーティングを行いましょう。特に、フォローミーティングは研修での学びを実践した上での成功事例と失敗事例を共有でき、学びを深めたり行動を修正する効果があるのでお薦めです。

<さいごに>

このように社内研修は、研修担当者の取り組み次第で様々な工夫や改善ができ、その結果として経営に大きな貢献ができる可能性があります。人材と組織の成長を通して企業の発展を実現する投資だと考え、ぜひ素晴らしい研修をプロデュースしていただきたいと願っています。

※この記事は、経営専門誌「企業実務 2017年12月号(発行:株式会社日本実業出版社)」に掲載いただいた記事を再編集したものです。

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