ビズパワーズ柳瀬智雄のコラム御社の「ドラゴン」は何ですか?

2016年07月17日

昨日、テレビを見ていてある映画のストーリーを聞いたときにハッとしました。その映画の主人公は、変化のない日常の中で無気力に生活していて云々・・というものなのですが、そこでの気づきは

「目標がないから、やる気が出ない、生活がつまらないのでは」

ということです。

おそらく数十年前までの「庶民」にとっては、「生きていく」こと自体が努力すべき目標だったと思います。食べ物が十分でない、命や安全が保証されていない中では、生き続けること自体は当たり前のことではなく、努力すべき目標だった。その目標を達成するために、人々は一生懸命に働き生き抜く、ギラギラした情熱が社会を満たしていたのでしょう。

私自身もそのような時代を経験することなく、平和で豊かな時代の恩恵にどっぷりつかっている「庶民」のひとりです。各論ではいろいろあるかも知れませんが、総合的には日本は良い国だと思っています。ただその安定が、ある意味で活力を失う原因かも知れません。

「このまま、ボーッと過ごしていても、親が食べさせてくれるから心配ない。」

「一生懸命働いても何も変化しない。」

そんな考えを持ってしまうと、仕事より楽しげな趣味や余暇に走ります。例えば、現実世界では目標を持つことができなくても、ゲームの世界では「ドラゴンを倒す」などの明確な目標を持つことができ、達成感を味わえます。もしかしたらゲームはある種の人々が生きていくために必要な「目標」を提供しているのかも知れません。だとしたらゾッとします。SF映画「マトリックス」で描かれた、コンピュータに支配され、バーチャルな満足感でのみ人類が生かされている世界を想像してしまいます。

経営者の立場に立つと「ゲームへの情熱を少しでも仕事に注いでくれたら・・」ということになるのではないでしょうか。もしも彼らがゲームに費やす情熱と時間の半分でも、リアルでの学習や交流、仕事などに費やすことができたらどんなことが起こるだろうと夢想してしまいます。

これは決して、ゲームに浸っている方を非難しているのではなく、そのようなワクワクする目標を提示できていない実社会の経営者に対するちょっとした苦言です。社員が目の前の仕事に忙殺され、中長期の目標を意識できず、達成意欲を持つことができない職場ではやる気も出ず、仕事もつまらないものになります。社員がやる気を失う原因は、経営者にもあります。

裏を返せば、経営者の意識と行動を変えることによって、社員や組織が一気に活気づく可能性があるのです。経営者の皆さん、社員の大切な情熱がゲームに奪われているとしたら、くやしくないですか。ぜひ社員がワクワク取り組める目標を共有し、ゲームより仕事が楽しいと言われるような素晴らしい経営を行っていただきたいです。

ポイントは「ワクワクする目標を共有する」です。御社の「ドラゴン」は何ですか?

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